僕は相場でこれまでに3回大負けを経験している。ここで言う大負けは1回につきおおよそパチスロで専業として一人暮らしをして貯蓄できる額の1年分以上と考えてもらってけっこう。

FXを始めて今年で6年。相場3回の大負けの内2回はFXでのものだ。今回はパチスロから離れてFXで最初に大負けをした時の話でもしてみようと思う。思い出しながらなのでもしかしたら時系列などの誤りがあるかもしれないけどその辺はあまり気にしないで欲しい。残りの1回は株でのことでこれより更に前の話、また別の機会あれば。

「FXの自動売買で楽して稼げる話があるがやってみないか。為替相場でのFX取引がはじまってからのバックテスト(過去の相場の動きでの検証)では99.5%の確率でトータルでは勝ちになるはずの方法がある」

僕がFXを始めたきっかけはここからだった。僕は他の人より慎重な性格なので自分の知識でFXのことを何も知らないなりに頑張って調べた。当時は自動売買は今よりメジャーでなく、クリック証券のAPIというものにアクセスしてパソコンを24時間起動しておいてプログラムを動かすというものだった(今は禁止されているかもしれない)

確率論

パチスロで自分が培ってきたモノ。勝てる確率のモノを続ければ結果につながる可能性が圧倒的に高いということ。検証の結果勝率「99.5%」僕には疑う点が無かった。不安はあるがこれは実戦していけば消えるものだろう。パチスロがそうだった。そう、僕にはパチスロで培ってきた経験がある。この経験が言う。ここで新しい世界に飛び込んで行けなければ僕に今以上の先は無い。

この個人的なオファー元は投資助言・代理業(当時は投資顧問業だったかもしれない、表記が変わっていた記憶があるので途中で変わったのかも)の有資格者で信頼できると思われる。FX素人の僕がいきなり自由に取引するよりも「信頼できる資格」を持った人に取引を任せたほうがいいのではないか。この自動売買はお金の管理は自分でするものなのでお金を預けるとかは一切無い。売買サインとサインを執行するソフトを走らせるのにお金が発生するというものなので最悪の持ち逃げなども考えられにくい。楽して儲かる、こんな話は少ないが現実に存在する。過去に株でもIPOバブルに乗ることで経験したし、パチスロでは楽してではないが攻略法という確実に勝つ方法をいくつも体験してきている。自分を信じろ。これは行くべきだ。勝率99.5%なのだから。

月30万とかFXの自動売買で儲かればうれしいな。複利運用表などを見ながら夢膨らませて準備を整える。自動売買で24時間起動しておくトレード専用のノートPCを買い、専用の小さい台も買った。それに加えてデスクトップPCも新調して2画面に、脇に別のノートPCと電卓。自分でトレードする訳ではないのにいっぱしの投資家気取りだ。そしてついに自動売買が始まった。

FX自体がはじめてなので用語などもさっぱりわからない。わからない言葉が出てくるたびに調べた。そして毎日動くお金と呼ばれるものの数字の動きを眺める作業に没頭した。システム自体は頻繁にトレードするものでなく日足を軸にトレードするもので理論も公開されていたので事前にどうなるかを大体把握することができた。そして自動売買運営からも「明日サインが出て注文執行されるので確認してください」というアナウンスなども入ってきていたので安心だ。僕は見ているだけでお金と呼ばれるこの数字が増えていくんだ。そう永遠に。

序盤はパフォーマンス低かったものの少しずつ理論どおりに資産変動していく。やはりイケル!これは本当に安全なのかもしれない。もっとレバレッジ増やしても大丈夫な気がする。自分なりに計算して最大の負け額を算出してレバレッジを自分の限界程度まであげて運用開始。そして月100万が見えた。

相場格言にこんな名言がある

相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく

その時は突然やってきた。サブプライムローン問題に端を発し後に「リーマンショック」と言われるものだった。月100万儲ける目的で持っているポジションがどんどん逆行し資産が毎日のように100万単位で動き減っていく。システムがドテンを示すとその逆を行く。サポート掲示板は阿鼻叫喚の様相で更に罵詈雑言、恨み節が並ぶ。

その中で僕はサポートを応援する立場をとった。相場なのだから何が起こるかわからない。長い目で見てプラスになるシステムでもドローダウン(マイナス)はあるだろう、と。こんな大きなマイナスを喰らっていてまだ信じるのか、と思われるかもしれないが僕には「99.5%の勝率」の他にすがるものも経験も無かった。

そして最終審判は下った。「システム稼動停止、サポート返金対応」

放心状態になった。信じていたものが壊れる瞬間というものはこういうものか。今思えばシステムを止めてくれたことに感謝すべきだろう。生まれて初めてストレスで髪の毛が抜けるという経験をした。

99.5%の勝率というものは過去の動きにあわせた結果のもので未来の結果に対するものではない。相場はその時に応じて動き方は学習し成長していくので過去の動きに似た動きにはなっても同じにはならない。そしてその過去の動きから逸脱する現象が未来では必ず起こるものなのだ。自動売買ではその逸脱に対応できないものが多いのが現状だ。

そして「自己責任の本質を見誤っていた」ことを学んだ。

お金の運用を少しでも他人主導にしたのが間違いだったのだ。システムを利用するのはいいだろう。でもそこには常に自分の意思が主導であることが必要だ。どんな動きでもお金の動きでの動揺よりも自分の意志が上を行くトレードでなければならない。

お金に左右されるのでなく、自分でお金を制しなければならない。欲望が直接的に表れる相場で欲望に支配されてはいけない。それは自分が生きてきた中で経験したことの無いこと。普通の意思では成し得ないこと。

放心状態の中、為替相場の中でどうしたら自分のチカラで戦っていけるか考えた。幸い僕はまだ相場の世界で生き残っている。破産していない。最悪はFX素人ながらなんとか「回避」したのだ。これが当時唯一のファインプレーだった。自分のリスク管理は甘すぎた。経済博士やエコノミスト、チャートの理論を考えた人だって簡単に破産するのが相場だ。だからこそ本当に必要なのは理論や手法でなくリスク管理やメンタル管理なのだ。

なんだ、パチスロと一緒じゃないか

回りまわってたどり着いたこの自分の中での結論。FXをはじめた年にリーマンショックを経験してその後リスク管理とメンタル管理だけは常に徹底してその後に理論手法を必要な範囲で勉強して使える時に使えると思うものをトレードに取り入れるように行動していった。お金を制するとはこういうことなのかもしれない。そうして経験を積んでいく内におぼろげながらもその形、その尻尾の影が見えたような気がする。そしてその尻尾は永遠に掴めないのだろうなと今現在も思っている。

今こんなことを書いたのは「生き残っていれば傷は癒える」からだ。この出来事も今となっては僕をFXという新しい世界に引き込んでくれたいい経験だ。今は相場だけで言うと年間最高の結果が出てて調子こいてると自分で感じるので戒めのために書いてみた。この文章が自分の戒めついでに、自動売買やFXそのものに興味を持っている僕以外の人に少しでも何かを考えるきっかけになればと思う。

金曜のデイトレは買った価格からもわかるように負けようが無い状態にすぐなったので無事オールプラス決済終了あざます。本日パチスロお休み。

次回気が向いたときに、FXで大損した話第2話。「スワップという楽して稼げる話があるらしい」へ続く・・・
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